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観光・産業

テイクアウト情報

金子屋 半九郎

オムライスやかつ丼をお値打ち価格で。ぜひご賞味ください。

 

壱乃蔵1

オムライス(660円)

壱乃蔵2

鶏かつ丼(660円)

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「昭和村の中で一番”玄人向け”の飲食店は?」

と聞かれたら、自分はこう答えるだろう。

 

「金子屋 半九郎である」

 

と。それも間髪入れずに。

 

ちなみに半九郎は弁当屋である。

それを頭に入れていただいたうえで店舗の外観をご覧いただこう。

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おわかりいただけただろうか。

もはや間違い探しをしているような気分になるが、写真中央の小さな灰色の建物こそ「金子屋 半九郎」。紹介するその店である。

一応補足しておくと、電光掲示板が消えているのは別にちょうど文字が消えたタイミングを狙って撮影したわけではない。

もとから点いていないのだ。

もちろん看板もない。住宅街の並びにひっそりと存在しているのが半九郎である。

 

ただ、役場に近く昭和村の中では比較的大きな道に存在するため立地は悪くない。

店であることさえわかりやすければ道案内の必要もないような場所ではあるが、簡単に道を図示すると以下の通りになる。

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一箇所、左折するように見える場所も同じ道の延長となっており、実は役場から一本道で行けてしまう。

 

長々と解説してきたが、お恥ずかしながら自分も今回初めてお邪魔した。存在はずっと前から知っていたのだが。

1人で切り盛りされているということで、閉店後の15時に伺ってざっくばらんに話をしていただいた。

 

それでは、謎のお店の正体に迫ろう。

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不思議なお店ではあるが、金子家の歴史を遡るとなんと「約300年前」になるとか。

形を変え、名前を変えて脈々と受け継がれ・・・現在の「金子屋 半九郎」という名前は、

金子さんのひいおじいさん「金子 半九郎」さんから付けられたらしい。

しかし、その頃と店の中身を変えて弁当屋として商売を始めたのは今の金子さんだという。

親の介護が理由とはいえ、それまで勤めていた仕事を辞めて弁当屋を始めるのは大きな決心が必要だったはずだ。

しかし、今年で開業して20年になるといい、現在の独自のスタイルでも営業できているのは根強いファンがいるからに他ならない。

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これだけでははっきりしたところはわからないだろう。

とはいえ、このセリフはこの後実際に食べるときに生きてくる。ぜひ頭の片隅に入れておいて欲しい。

 

ちなみにその時々によってさまざまなお弁当を作る金子さんだが、新たにメニューに加えたいのは「広島風お好み焼き」だという。

現在は弁当屋の半九郎だが、以前はお好み焼き屋だったということで設備は既に整っている。

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ご厚意でそのお好み焼きも作っていただいたのでお弁当とは別にこちらもいただいた。

これが絶品だったのだが、詳細は後に送ろう。

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常連さんが多いのは当然のこととして、このお店がなぜこういった営業形態なのか、その根本的なところに踏み込むとしよう。

一言で言うならば、「お客さんに迷惑をかけたくない」からであるという。

どういうことかというと、金子さんが一人で切り盛りしている関係で、

広くお客さんを集めるとどうしても無理が生じてお客さんに迷惑をかける可能性が出てくる。

もちろん、利益を追求するならば多少客を待たせてでも普通に営業したほうがよいだろう。

それをしないでお客さん一人一人を大切にしているからこそ、あのひっそりとした営業形態なのである。

金子さん自身は新しいお客さんにもぜひ来てほしいという思いがあり、しかしそういった状況と思いもあるからこそ葛藤も大きいようだ。

そのため、お客さん自身のためにも来店の際は「予約」をしてから来て欲しいという。

そうすればお客さんはもちろん、金子さんにも無理が生じず、お互いにとってとても気持ちの良いお店であり続けるだろう。

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・・・いや、陽気な金子さんなのでふざけて言っているのか計りかねていた次第で。

しかし、どうやらその思いは本気のよう。これは失敬!

実は試験を受けて既に防災士の資格を取っており、そういった救命関係の他にも何か社会の役に立つことをしたいという。

そのため、もし大金が手に入っても自宅の後ろの藪を整備して人の迷惑にならないようにしたり、

お墓をきれいにしたり、さらには医療関係の団体に寄付したり・・・

正直なところ、自分では到底考えられないような使い道を挙げていた。

ただ、「親の介護のために仕事を辞めて弁当屋を始めた」ということや「お客さんに迷惑をかけたくない」という

金子さんの言葉を思い起こしてほしい。

「社会貢献がしたい」という金子さんの思いは既に行動に表れている。

まさに「社会貢献のプロフェッショナル」と言っていい自分が、その分野についてまさかお弁当屋さんの姿勢から学ぶことになるとは・・・

恐れ入った。

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店主から入店の段階で「チャレンジ」という言葉が出た。いや、どんな店だ。

とはいえ、本当にその言葉がぴったりのお店だ。

そして、その価値があるかどうかは・・・この後自分が実際に食べる様子で判断して欲しい。

もちろん、一度「チャレンジ」してお客さんになってしまえば大切にしてくれるのは既に述べた通りである。

 

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「オムライス(650円)」をいただいた。・・・あれ、お弁当屋さん、だったよな。

まぁ看板のない店に今更常識を持ち込む方がナンセンスである。注目して欲しいのは写真のオムレツ部分だ。

焦げ目なくしっとりと焼きあがった外側と、ふわふわに仕上がった中身。

写真でもその出来栄えはわかるはずだ。そして、思うことだろう、「このお店、”できる”のでは・・・?」と。

結論から言おう。「ホテルの味」だった。

焼き方だけでなく、バターの香りも気品を感じさせる。

自宅が、そして650円のお弁当(?)が、ホテルのレストランとその一品に変貌した瞬間だった。

チキンライスもケチャップの安っぽい酸味など一切感じさせない。

「結構手が込んでいる」という金子さんの言葉を覚えているだろうか。正直、想像以上だった。

 

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ちなみにせっかくなのでいただいた「お好み焼き(正式提供はまだ)」にも触れておこう。

冷めると肉が硬くなるということから豚肉を抜いて作っているというお好み焼きだが、

中に入った揚げ玉が豚肉のような食べ応え・満足感を出している。

お好み焼きを作りたい理由のひとつに「昭和村の野菜を使ったメニュー」を出したいということがあり、

広島風ならではのたっぷり詰まった昭和村産キャベツもおいしくいただけた。

甘めのソースも相まって、「昔の駄菓子屋で出されたお好み焼き」をお好み焼き屋さんが本気でアレンジして作ると

こういった形になるのではないか、という味。

とにかく本格的で、ここが弁当屋であることをすっかり忘れていた。

 

ごちそうさまでした!

どちらも冷めた状態より温めたほうが格段においしかったので、冷めたときは一度温めることをオススメする。

肝心の料理の出来については「侮っていた」と言わざるを得ない。

しかし、冷静に考えてみて欲しい。20年前に始まった弁当屋が看板もなく今も続いている理由を。

そして、想像してみて欲しい。「看板を出したらどうなるか」ということも。

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「人は見かけで判断してはいけない」と言うが、お店も見た目で判断してはいけないようだ。

・・・いや、やはりこの写真の男性が先ほどの料理を作ったということも考えづらい。頭が混乱してきた。

結局、謎が謎を呼ぶ不思議なお店なのだが、一つだけ言えることがある。

ぜひ「チャレンジ」してみて欲しい。その価値があることは保証しよう。

もちろん、その際は「要予約」で。

                                    訪問日:2020年5月22日 文責・伊藤

住所 昭和村糸井1258
電話番号 080-5002-8960
営業時間 11:00~14:00
定休日

日曜日、祝祭日

予約方法 電話予約(当日9:00まで)
備考 各食10食限定

お問い合わせ先

〒379-1298 群馬県利根郡昭和村大字糸井388番地
昭和村役場
TEL:0278-24-5111(代表)  FAX:0278-24-5254

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